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小脳扁桃腺逸脱症

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概要

小脳扁桃は、大後頭孔に対する「正常な位置」に幅があり、特にその正常な範囲は年齢に依存しているが、扁桃の下降・位置の度合い(ミリ単位)は年齢に対して正常な分布をしている。 従来、キアリ1型奇形は、単純に大後頭孔以下の「扁桃ヘルニア」からなる後脳・頭蓋骨の異常と定義されていましたが、その後、大後頭孔以下に5mm以上の扁桃が下降し、タスキをかけたような頭痛の症状を伴うという神経放射線学的な基準で定義されるようになりました(例:咳を伴う)。 Barkovichらが1986年に発表した200人以上の健常者と25人のキアリ1型奇形患者からなる代表的な研究では、健常者群の扁桃腺の平均位置は大後頭孔から1mm上(8mm上から5mm下の範囲)であった。 一方、キアリ1型の患者では、扁桃の下降の平均値は、大後頭孔より13mm下(下降の範囲は3~29mm)だった。 著者らは、扁桃腺の位置が大後頭孔より2mm以上下にある場合、症状のある患者を予測するための感度は100%、特異性は98.5%であることを明らかにした。 その後、キアリ1型の患者で最も一貫した所見は、成人患者では5mm以上の扁桃「ヘルニア」(すなわち腫瘤効果を伴う下方下降)であり、扁桃が大後頭孔から3〜5mmの位置にある患者は無症状の可能性があるが、その診断を除外するものではないことが示された。 注目すべきは、無症状の一般集団を対象とした大規模な前向き研究で、5mm未満の扁桃「異所性」(すなわち、明確な質量効果を伴わない下降)が、成人集団の0.5~1.0%に偶発的な所見として存在することが実証されていることである。しかし、そのような5mm未満の扁桃異所性を有する患者が最終的に症状を発症するかどうかは定かではなく、頸髄接合部の圧迫の程度についても十分に説明されていない。 したがって、臨床症状の有無との相関が必要である。 扁桃腺の位置に影響を与えるその他の要因としては、異所性の程度が通常またはわずかに左右で異なる可能性があることや、心周期に伴っても異所性の程度がわずかに変化する可能性があることなどが挙げられる(対照群では最大0.4~0.5mm、キアリ1世の患者ではさらに大きく変化する)。

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