ネット上で、グルテン過敏症が片頭痛の原因になるというサイトをいくつか見つけましたが、これは本当でしょうか? また、片頭痛を改善するために、さまざまな食品や添加物を避けるという記事も読みました。
セリアック病は自己免疫疾患のひとつで、グルテンに対する免疫反応が起こり、胃腸などに症状が出る病気です。 セリアック病は、血液中の様々な抗体(例:抗グリアジン抗体(AGA))を検出することで検査することができます。 非セリアック性グルテン過敏症の診断については、議論の余地があります。 血液中の抗体は多くの場合陰性ですが、ある研究では、胃腸科を受診した患者の最大50%にAGAの血中濃度が検出されました。
頭痛は、グルテン過敏症に関連するとされる数多くの症状の一部かもしれませんが、グルテン過敏症が片頭痛を引き起こすという証拠はありません。 イタリアで発表されたセリアック病の成人における頭痛の有病率を調べた2つの研究では、異なる結果が出ています。 Cicarelliらは、セリアック病における片頭痛の有病率が32%であるのに対し、Brianiらは5.6%に過ぎないと報告しています。別の研究では、セリアック病クリニックのセリアック病患者では、対照群に比べて頭痛の有病率が高いとしていますが、対照群には女性が少なく、片頭痛は女性に多いとされています。
グルテンフリーの食事が片頭痛に影響することを示す良い証拠はありません。 前述の研究では、188人のセリアック病患者のうち、8人だけが改善を報告しましたが、この研究は特にこれを調査したものではありません。 また、グルテンフリー食の期間と片頭痛の重症度には相関がないこともわかりました。 2001年には、片頭痛を持つ10人のセリアック病患者を対象とした論文が発表されました。
他の食事療法も試みられていますが、研究はたいていオープンラベルで行われ、被験者は自分が何を食べているか知っているので、結果がプラセボ効果に影響される可能性があります。 また、被験者の数が少なかったり、試験期間が短かったりすることもあります。
このような研究では、4週間のケトジェニックダイエットの効果を示唆するものが2件ありましたが、これらの結果を検証するにはより良い研究が必要です。 30人の片頭痛患者を対象としたある研究では、6週間の食事療法期間中の頭痛の日数を調べ、肯定的な結果が得られましたが、167人の参加者を対象としたより大規模な無作為化対照研究では、半数の参加者に12週間の偽装食を与えましたが、否定的な結果となりました。
また、チョコレートが片頭痛の引き金になるという俗説がありますが、それを裏付ける証拠はありません。 これを裏付ける証拠はありません。
結論として、片頭痛用の食事はありませんが、欠食が片頭痛の引き金になることは明らかなので、健康的な食事を規則正しく摂ることが望まれます。
- Cicarelli et al. Neurol Sci, 2003; 24:311-17
- Briani et al. J Neuroimmunol, 2008; 195(1-2):171
- Dimitrova et al. Prevalence of Migraine in Patients with Celiac Disease and Inflammatory Bowel Disease. Headache 2013; 53:2 (344-55)
- Orr S. Cephalgia, 2015
- Hadjivassiliou et al. Neurology, 2001; 56:385-388
- Alpay K et al. 食物に対するIgGに基づいた片頭痛における食事制限:臨床的二重盲検無作為化クロスオーバー試験. Cephalalgia 2010 Jul; 30(7):829-37
Information taken from Migraine News journal, Issue 113, September 2016.
Further reading
2016年9月、当社の評議員であるPeter Goadsby教授が、BBC Good Foodのウェブサイトに、食べ物と片頭痛に関する記事を寄稿しました。 Read ‘How does food affect migraines?’ on bbcgoodfood.com >
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