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Complete aggregation pathway of amyloid β (1-40) and (1-42) resolved on an atomically clean interface

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図1Aは、溶液中のAβ-40単量体とAβ-42単量体の核磁気共鳴(NMR)から得られた構造である。 2つのアイソフォームはペプチド配列の長さが異なり、Aβ-42はAβ-40に比べて2つのアミノ酸残基(Iso41とAla42)が追加されており、その結果、Aβ-42の方が速く凝集することが観察されている(38)。 Aβ-40およびAβ-42の溶液をPBS緩衝液(pH7.4)で調製し、AFMイメージング実験のたびに、10μlのアミロイド溶液を原子レベルで清浄なグラフェン上にドロップキャストした(Aβ-40およびAβ-42の調製と蒸着、グラフェンの洗浄プロトコルの詳細については「材料と方法」を参照)。 アミロイド溶液を滴下してから5分後、グラフェン表面を5mlの純水で洗浄し、過剰な緩衝液を除去し、溶液中の未結合ペプチドが表面またはAFMチップのいずれかに吸着するのを防いだ(閉鎖液体セル内でのAFMイメージングの詳細については「材料と方法」を参照)。 図1Bは、Aβ-40ペプチド溶液(0.5時間インキュベート)をエピタキシャル・グラフェン上に蒸着した後、純水でイメージングして記録したAFM画像である。 AFMの高さ方向の画像では、混合したサイズ分布を持つ単一粒子の存在が示されている。 個々の粒子の直径を決定するために、図1Cに示すように、粒子全体の断面プロファイルを抽出する。 高さ方向のプロファイルから、グラフェン表面に垂直な方向の高さが、粒子ごとにナノスケールで変化していることがわかる(図1Bの白線で示した断面プロファイル)。 AFMの生データから観測された粒子の幅は、AFMの先端と球状粒子の半径の間の畳み込みであり、粒子の真の幅よりも大きい。 しかし、測定された高さはAFM探針の形状に依存せず、高さは球状粒子の直径に等しいため、その後、アミロイドオリゴマー(27)などの粒子の直径や、アミロイド線維(39)などの高アスペクト比の円筒状物体の直径を推定することができる。 これまでにアミロイドオリゴマーとされてきた数百の単一粒子に沿って抽出された同様の高さプロファイル測定値に基づいて(27, 36, 40)、今回の研究で検出できたAβ-40アイソフォームの最小粒子(球状と仮定)の直径は約1.65 nmであり、これは以前にAFMで報告されたAβ-40ペプチドの直径と同程度である(28)。 本研究で測定した粒子に含まれるAβモノマーの数を見積もるために、Erickson (41)が提案した方法を用いて、単一のAβ粒子が球状であると仮定して、測定した凝集体の体積を分子量に変換した。 この仮定に基づき、平均直径1.9±0.25nmの最小のAβ-40粒子は、分子量〜3.0kDaに相当すると推定した。これは、ほぼモノマーに相当する。

Fig. 1 Aβ-40およびAβ-42ペプチドの凝集初期過程のイメージング。

(A)水溶液中のAβ-40およびAβ-42の部分的に折り畳まれたらせん状のNMR構造。 両ペプチドの特定の領域は、N末端(1〜16残基)を赤、中央の疎水性クラスター(17〜21)をグレー、ターン(22〜29)を青、C末端(30〜42)を緑で表している。 すべての疎水性側鎖は灰色の棒で表されている。 B)グラフェンに吸着した小さなAβ-40オリゴマーがまばらに分布している様子を示す高解像度AFMトポグラフィー画像。 色分けされたAFM像からは、さまざまな直径の球状粒子が見える。 C)数個の単一粒子に沿って抽出した断面の高さプロファイルで、空間的によく分離した粒子の高さの違いを示している。 (D) グラフェンに吸着したAβ-42オリゴマーが高密度に分布している様子を示すAFM画像。 E)高密度に吸着したAβ-42オリゴマーを、(D)のAFM像で示した緑色の線に沿って、断面の高さ方向に分析したもの。 200個のAβ-40およびAβ-42オリゴマーの高さを測定した結果、Aβ-40の平均粒子径は(4.1±1.1)nm、Aβ-42の平均粒子径は(8.4±2.1)nmであることがわかった。

次に、Aβ-42凝集体のサイズ分布と形態を、同一濃度(5μM)、緩衝液条件(PBS)(pH7.4)、インキュベーション時間(0.5時間)、成膜条件(Aβ-42溶液10μl、成膜時間5分、その後純水5mlで表面をリンス)をAβ-40のイメージングに用いたものと同じにして、Aβ-42凝集体のサイズ分布と形態を比較した。 図1Dは、過去の研究(24, 25)でオリゴマーに分類されたAβ-42の粒子のAFMトポグラフィー画像である。 Aβ-42粒子は、図1Eの断面プロファイル(図1Dに示した線に沿って抽出)に示すように、様々な直径で存在しており、同じ時間(0.5時間)インキュベートしたAβ-40オリゴマー(図1B)よりも、Aβ-42の方が目に見えて大きく、高密度に存在している。 我々がAFMで測定したAβ-42アイソフォームの最小オリゴマーの平均直径は3.7±0.2nmであり、これは分子量25.0kDaの6量体にほぼ相当する。 200個のAβ-40およびAβ-42オリゴマーについて高さ方向の分析を行ったところ、Aβ-40の平均直径は(4.1±1.1)nm(図1F、上段の赤い棒状のヒストグラム)、Aβ-42の平均直径は(8.4±2.1)nm(図1F、下段の緑の棒状のヒストグラム)であった。

PBS緩衝液ではなく水中での測定を正当化するために、PBSと純水の両方でAβ-40とAβ-42のオリゴマーのサイズ分布を比較した。 Aβ-40オリゴマーとAβ-42オリゴマー(インキュベーション時間は同じ1時間)のPBS緩衝液と純水での粒子径(ハイトトレース分析から推定)の統計的分布を比較すると、純水よりもPBS緩衝液で測定した粒子の方が高い直径値を示した(詳細な統計プロットは図S3、AおよびBを参照)。 ここで、PBS緩衝液中でグラフェンに吸着したAβ-40およびAβ-42オリゴマーの平均粒子径が大きくなったのは、AFMプローブが緩衝液の塩水に汚染されたため、オリゴマーの実際の形態が過大評価され、結果的に粒子径の値が大きくなったのではないかと考えられる。 この仮説は、PBS緩衝液中のアミロイド凝集体のイメージング中にAFM探針の汚染を明らかにすることで確認した(探針のAFM画像については図S2を参照)。 S2はPBS緩衝液中のAFM画像で、チップのストリーキングとダブルチップ効果を示している。) オリゴマー凝集体の直径を1粒子の分解能で正確に測定するために、純水および原子レベルで清浄なグラフェン上でAFM測定を続けた。 図2は、オリゴマーの直径の経時変化をプロットしたものである。 グラフの各点は、グラフェン-水界面に吸着したAβ-40(赤線)およびAβ-42(緑線)について、0.5時間から110時間までの多数のインキュベーション時間間隔で、数百個の個々のオリゴマーから抽出した断面プロファイルに基づいている。 図2に示すように、Aβ-40、Aβ-42ともに、オリゴマーの直径が大きくなっていることがわかる。 Aβ-40では、80時間後にはオリゴマー凝集体が広く存在することは観察されなかったが、Aβ-42の場合には、AFMデータ解析によると、110時間後にもオリゴマー凝集体が豊富に存在していた(Fig.4G)。 この結果から、Aβ-42の低分子オリゴマーは、Aβ-40のオリゴマーに比べて、凝集時に長くとどまることが示唆された。 後述するMD構造の計算結果(図6)では、Aβ-42オリゴマーと下地のグラフェン表面との相互作用がさらに定量化されている。 また、オリゴマーの形態の変化を経時的に観察したところ、Aβ-40およびAβ-42の両種について、フィブリル状の凝集体の形成が検出された。 図3Aは、アミロイド溶液を30時間インキュベートした後、Aβ-40凝集経路に沿ってフィブリル状の凝集体が出現した最初の兆候を記録したAFMトポグラフである(図2のプロットでは黒矢印で示されている)。 これらのフィブリル状凝集体は、AFM高さ画像(図3A)に示された黒い線に沿って抽出した図3Bの断面プロファイルから示されるように、さまざまな高さを持っていた。 これらのフィブリル状の凝集体は、オリゴマー状の凝集体と一緒に観察され(同じサンプルの他の領域で取得したAFM画像についてはセクションS2を参照)、フィブリルとオリゴマー状の凝集体の混合物が存在することを示している。 図3Aに示すように、いくつかのフィラメントをAFMで測定した高さプロファイルから、これらの物体の直径(高さから推測)は~3~8 nmであることがわかった。これは、クリーンなシリコンに吸着したAβ-40フィブリル凝集体をAFMで測定した直径の値と一致している(28)。 これまで、アミロイド集合体の初期段階で発生する結節状の形態を持つこれらのフィブリル集合体は、アミロイドフィブリル化経路の中間体であり、成熟フィブリルの前駆体であるプロトフィブリルとして分類されてきた(22, 27, 36, 40)。

Fig. Aβ-40およびAβ-42オリゴマーの特性。

Aβ-40(赤の曲線)およびAβ-42(緑の曲線)オリゴマー(グラフェン-水界面に吸着)の時間経過に伴う粒子径の増加(単一粒子の高さプロファイル分析から得られる)を、Aβ凝集の時間の関数としてプロットしたもの。 Aβ-40の場合、80時間まではAFM像に定量的なサイズ分布を持つオリゴマーの集合体が観察された。 Aβ-42では、80時間後にも安定したオリゴマーが観察され、110時間後にもAFM像で確認された。

図3 Aβ-40およびAβ-42のAFMイメージングで観察された最初のプロトフィブリル(~30時間)と、AFM画像を通して観察された成熟フィブリル(~90時間)の時点を黒矢印で示す。

(A) Aβ-40の原線維がまばらに吸着している様子を示すAFM像。 アミロイド溶液を室温で30時間インキュベートしたときに初めてAβ-40のプロトフィブリルが観察された。 B)(A)のAFM画像の黒線に沿って抽出した断面図で、Aβ-40プロトフィブリルの高さプロファイルの違いを示す。 C)AFM像では、Aβ-42オリゴマーの凝集体とプロトフィブリル構造が密に分布していることがわかる。 Aβ-42原線維の形成は、Aβ-42溶液を8時間インキュベートした後に初めて観察された。 (D) Aβ-42プロトフィブリルを(C)の黒線に沿って抽出した高さプロファイル。 (E) Aβ-42を30時間インキュベートした後、グラフェン上に堆積させてAFMイメージングを行ったところ、平坦な構造、プロトフィブリル、オリゴマー粒子が形成されたことを示す大面積のAFM画像。 F)アミロイド溶液を30時間インキュベートした後のAβ-40(上段赤のヒストグラム)と、室温で8時間インキュベートした後の(G)Aβ-42(下段緑のヒストグラム)のプロトフィブリルの高さ分布の統計的解析。 F)の挿入図は、Aβ-40プロトフィブリル(サイズ、580 nm×300 nm)の3次元AFM像であり、(G)の挿入図は、Aβ-42プロトフィブリル(サイズ、550 nm×650 nm)の3次元AFM像である。

Aβ-40プロトフィブリル(特徴的な結節構造を持つ)の形成は、インキュベーション時間30時間後に初めて観察されたが、Aβ-42のプロトフィブリルの形成はわずか8時間後に検出された。 図3Cは、図3Dに示すように、高さが異なるフィブリル状のAβ-42凝集体の少数の集団とともにオリゴマーの存在を示すAFM画像である。 このように、凝集のスピードとその結果としてのプロトフィブリル構造の違いから、Aβ-42アイソフォームはAβ-40よりも溶液中で速く凝集することが確認された。 Aβ-42を約30時間培養したところ,オリゴマー凝集体や単一の原線維に加えて,局所的に配列した原線維からなるフラットシート状の構造が観察された(原線維のAFM解析については,図3EおよびセクションS3を参照)。 以前、グラファイト上でAFMを用いて同様の横方向に相互作用するシート状のAβ-42構造の発生が報告されている(30)。 最初に観察されたAβ-40およびAβ-42原線維の高さの違いを定量化するために、各種の原線維350個の高さを統計的に分析した(図3F)。 その結果、Aβ-40では平均3.9±1.6 nm、Aβ-42では平均5.5±1.5 nmとなった(図3F、上段の赤いヒストグラム)。 次に、アミロイドが凝集する際に観察された形態の変化は、細長い構造を持つ成熟フィブリルの形成である。 成熟したAβ-40(10, 43)およびAβ-42(44, 45)フィブリルの原子構造は、低温電子顕微鏡(43, 44)および固体NMR(45)から知られている。

本研究で用いた条件では、溶液中に凝集した成熟フィブリルは、Aβ-40では110時間後、Aβ-42では約90時間後に初めて出現した。 図4Aは、成熟したAβ-40フィブリルの大面積AFM高さ方向の画像であり、曲がったフィブリル(赤矢印で示す)や細長い単一フィブリル(青矢印で示す)として現れている。 平均直径が8.5±0.5 nmの単一のフィブリル(フィブリルの形態を円筒形と仮定して高さ方向の軌跡から推定したフィブリルの直径;成熟したAβ-40フィブリルの高さ方向の統計についてはセクションS4を参照)に加えて、トポグラフィーと同時に取得した位相差AFM像(図4B)から、個々のフィブリルが分岐する接合部(図4Aでは黄色の矢印で表示)の存在も観察された。 また、高さ、位相、オーバーレイ画像(図4C)から、Aβ-40の成熟フィブリルと一緒にオリゴマーの凝集体が存在していることは検出されなかった。 次に、90時間培養後に初めて観察された成熟したAβ-42フィブリルの出現を、高解像度AFM高さ画像(図4D)および位相コントラスト画像(図4E)で確認した。 Aβ-42の成熟したフィブリルは、以前に観察されたAβ-40の成熟したフィブリルのトポロジーとは大きく異なっていた(図3A)。 Aβ-42の成熟したフィブリルは、方向性を持って密集しており、曲がって孤立したAβ-40の成熟したフィブリルとは全く異なる、硬い円筒状の構造をしている。 この観察結果は、断面のプロファイル解析でも確認された(図4F)。 特に、図4Dに示した緑色の線は、成熟したAβ-42フィブリルが横方向に密に並んでいることを示している。 図4Dに示した緑色の線は、成熟したAβ-42線維が横方向に密集していることを示している。約200本の成熟した線維の断面を解析した結果、成熟したAβ-42線維の平均直径は(9.6±0.7)nmであった(成熟したAβ-42線維の高さについては図S6A参照)。 4 Aβ-40とAβ-42フィブリルネットワークの形態的な違い

アミロイド溶液を110時間インキュベートした後に撮影した、まばらに堆積した成熟したAβ-40フィブリルの高さ(A)と位相(B)情報のAFM画像。 フィブリルは、相互に連結した曲線状と伸長した個別の形態の両方が見られる。 C)高さ(A)と位相(B)のデータを重ね合わせたもの。 A)の黄色の矢印は、まばらにつながったAβ-40フィブリルの中に、初めてクラスターが出現したことを示している。 DおよびE)整列したAβ-42フィブリルの高解像度の高さおよび位相コントラストAFM画像。 F)(D)のAFM高さ画像で示した緑色の線に沿って測定した断面の高さプロファイル。 成熟したAβ-42フィブリルは、アミロイド溶液を室温で90時間培養した後に初めて観察された。 Aβ-42線維の配列は、Aβ-40の吸着パターンとは明らかに異なっている(A)。 成熟したAβ-42フィブリルは、ねじれはあっても曲がりはなく、硬い棒状に隣接して積み重なっている。 G)室温で90時間培養した成熟したAβ-42フィブリルの大面積位相差AFM像。

高さ方向のデータと位相差AFM像を詳細に観察すると、Aβ-42凝集のこの段階では、成熟したフィブリルとともに球状のオリゴマー凝集体が存在していることがわかる。 位相差AFM像では、球状のオリゴマー集合体の存在が識別できる(図4G)。 アミロイド集合体の飽和段階におけるオリゴマー集合体の存在を定性的に示すだけでなく、100個程度のオリゴマー集合体について行った高さプロファイル分析に基づいて、これらのオリゴマー集合体のサイズ分布を定量化した。 成熟したフィブリルが形成された後(90時間)、AFMでオリゴマーが直接検出されなくなった時点(110時間)までに存在する粒子の特徴を調べた。 図5Aは、90時間、95時間、100時間、105時間、および110時間のインキュベーションで発生したオリゴマー凝集体の直径分布を示している。 これらのデータから、Aβ-42の成熟したフィブリルと共存する傾向のある7〜9 nm(分子量221±80 kDa、球状の50-merにほぼ対応)のサイズ範囲の狭い直径の凝集体が確認された。 Aβ-40およびAβ-42のフィブリル形成の最終段階では、高密度のフィブリルが出現した。 図5Bは、アミロイド溶液を150時間インキュベートしたときの、グラフェン-水界面における成熟したAβ-40フィブリルの集合体のナノスケールのトポロジーを示す大面積AFM高さ画像である。 高さ画像と対応する位相差画像の両方から見て、成熟したAβ-40フィブリルの集合体は方向性を持たずに形成されていることがわかる(図5C)。 成熟したフィブリルの発生(図4A)から最終的な凝集状態(図5B)までのAFMデータを基にすると、束ねられたフィブリルからなるクラスターが形成されていることがわかる。 これらのクラスターは、平均高さが(8.8±1.2)nmの細長いフィブリルの小さな集団によって連結されている。 Aβ-42凝集経路に沿った次の明確な形態変化は、インキュベーションの約130時間後に観察され、これは110時間後の成熟したAβ-40フィブリルの出現よりも早い。 図5Dは、インキュベーション時間150時間後の成熟したAβ-42フィブリルの大面積高さ画像である。 位相差画像(図5E)では、高密度のフィブリル形態の興味深い詳細が明らかになった。 アミロイド溶液を110時間培養すると、Aβ-42フィブリルが整列しているのが観察された(図4G)。 これらの整列したフィブリル構造は、フィブリルの形態に大きな変化はなく、250時間までの長い培養時間で持続した。このことから、Aβ-42フィブリルの凝集経路の最終段階は、約130時間後にすでに到達していると考えられる。

Fig. 5 Aβ-40およびAβ-42の凝集の最終段階。

(A)アミロイド溶液を90, 95, 100, 105, 110時間インキュベートしたときの、Aβ-42凝集の後期に存在するオリゴマーの直径分布(各Aβ-42で抽出した高さプロファイルに基づく)の統計的解析。 各プロットのグレーの斜線部分は、最も長いインキュベーション時間において、直径が約7~9 nmのオリゴマー粒子の存在を示している。 疎なネットワークを示す成熟したAβ-40フィブリル形態のAFM高さ(B)および位相差(C)画像(インキュベーション150時間後)。 位相画像(C)では、フィブリルを含むクラスターの形態がより鮮明に示されている。 アミロイド溶液を150時間インキュベートした後に撮影したAβ-42成熟線維の高さ(D)と位相(E)の画像。 Aβ-42成熟線維は整列しているように見えるが、これは同じ時間(150時間)培養したAβ-40成熟線維のトポロジーとは対照的である(B)。

Aβ-42のフィブリルは、同じ時間培養したAβ-40のフィブリル集合体のトポロジーとは明らかに異なるままである(図5B)。 高解像度の画像では、フィブリルの平均高さが(9.5±1.1)nmであり、成熟したAβ-40フィブリルの平均高さよりもわずかに大きいことから、フィブリルが整列していることがさらに確認された。 この配列効果が、フィブリル間の相互作用が強くなったために生じるのか、あるいはグラフェンを介したアセンブリのために生じるのかを調べるために、グラフェンへのAβ-42吸着研究に用いたのと同じ蒸着・イメージングプロトコルを用いて、10μlのAβ-42ペプチドを清潔なスライドガラス上に蒸着し(洗浄手順と検証については「材料と方法」を参照)、水およびPBS緩衝液中でイメージングを行った。 ガラス-水およびガラス-PBS界面で150時間培養した後のAβ-42種について記録したAFM画像は、グラフェン-水界面で見られたものと非常によく似たネットワーク形態を示した(セクションS5参照)。 また、成熟したAβ-42フィブリルは、緩衝液中でイメージングした場合と、表面を水で洗い流してイメージングした後に、スライドガラス上で整列していることが観察された。 ガラス上ではフィブリルの配列が観察されたことから、イメージング表面の親水性や粗さが、Aβ-42フィブリルの長距離秩序化の主要因ではないことが示された。 成熟したAβ-42フィブリルではフィブリルの配列が観察され、同じように調製したAβ-40フィブリル凝集体では観察されなかったのは、Aβ-42ペプチドにのみ存在する余分なアミノ酸残基(8, 27)がフィブリル間の相互作用を促進する可能性があるためである。 最近、Aβ-40には存在しないAla42がLys28と塩橋を形成することで(45)、Aβ-42フィブリルの表面に存在する正味の電荷が緩衝されることが明らかになった(48)。 Aβ-42フィブリルの原子構造に関する新たな情報(48)と、AFMで観察された平均的に長いAβ-42フィブリルと中央の2つのモノマーの間(C、黒)。

グラフェン表面上でのドデカマーの好ましい配向を特定するために、ドデカマーとグラフェンの結合エネルギーを計算した。 図S9Bより S9Bより、計算された結合エネルギー(ΔEbinding)は、Aβ-40とAβ-42の両方に方向性があることを示している。これは、グラフェンシートに沿ってドデカマーが配置され、2つの折り目が隣接していることを意味しており、フィブリルの伸長を助長している。 ΔEbindingの値を分解してみると(図S9B)、その違いは極性溶媒和結合エネルギーに由来することがわかる。 ΔEpolarは、Aβ-40とAβ-42のいずれにおいても、フィブリルの播種に適した方向では負の値を示すが、他の2つの面では正の値を示しており、オリゴマー-グラフェン間の界面水がこの吸着様式の安定化に重要な役割を果たしていることがわかる。 以上の結果を受けて,この好ましい配向(IIIと表記)でのシミュレーションを0.5 μsまで拡張した。 特に断りのない限り、最後の200ナノ秒の自由行動に基づいて解析を行った(図S9は、ネイティブコンタクトの割合の時系列を示している)。 Aβ-42とAβ-40は非常によく似た吸着モードをとり、グラフェンとの接触回数はほぼ同じである。 図S9Dの下段の挿入図は、残基Tがグラフェンに接触していることを示している。

図6Aは、Aβ-40とAβ-42の代表的な安定構造(結合方向の比較から得られたもの。

図6Aは、グラフェン-水界面におけるAβ-40およびAβ-42の12量体構造の代表的な安定コンフォーメーション(さまざまな結合方向の比較から得られたもの)を正面および側面から示したものである。 計算されたコンフォメーションエネルギー(図6B)をモノマーごとに正規化して大まかに比較すると、フィブリルが伸長する方向に配列した場合、Aβ-42の12量体の方がAβ-40よりも安定であることが予測される(約35kcal/molの差)。 この結果は、今回のAFM研究やこれまでの研究で観察されたAβ-42の凝集の速さや、Aβ-42のオリゴマーの持続性と一致している。 全体のコンフォメーションエネルギーに大きく寄与しているのは、12量体の極性溶媒和自由エネルギーであり(図S9E)、Aβ-42はAβ-40よりもわずかに有利である。 これは、Aβ-42ではAβ-40よりもわずかに有利であることを示している。この溶媒の寄与は、Aβ-40ではかなり不利な(正の)クーロン静電エネルギー(~19kcal/mol)と相まって、分子内の電荷-電荷反発がAβ-40で観測される不安定性に大きく寄与していることを示している。 今回のシミュレーションでは、グラフェン-水界面におけるAβ-40とAβ-42の2つの12量体の両端間の「プリフィブリル」と呼ばれる登録内水素結合(H結合)の発生が明らかに異なるという興味深い結果が得られた(図6、CおよびD、表S1、およびセクションS6も参照)。 以前の実験では、Aβフィブリルの成長が一方向性であると報告されているものもあれば(58, 59)、双方向性の成長を強調しているものもある(60, 61)。 一方向性のフィブリル成長は、過去のMDシミュレーション研究から、Aβ-40とAβ-42の両方において、溶媒にさらされている2つのフィブリル端のH結合の違い(一方の端は変動が少ないため、他方の端よりも閉じていて安定している)に起因すると考えられている(62)。 しかし、実際にどちらの端がフィブリル上のモノマーの付加を促進するのかはわかっていない。シミュレーションでは、閉じた端の方が開いた端よりも早く伸びる可能性が示されている(63)。 水にさらされた両端の二量体(E1およびE2とする)と12量体のバルク中央二量体(Cとする)を解析した結果、Aβ-40およびAβ-42ともに、一方の端(E1)の登録内H結合の数が他方の端(E2)のそれよりも有意に少なく、一方向性の成長を遂げる可能性があることがわかった。 しかし、Aβ-42ではE2とE1の間の最も強い(80%以上)H結合で11%の差が記録されているのに対し、Aβ-40では19%という有意に大きな差が記録されており、Aβ-40のドデカマーは揺らいでいる方の端でより多く(Aβ-42の約2倍)開いていることが示唆された。 Aβ-42はAβ-40よりもE1端でのモノマー付加が秩序立って進んでいる可能性があり、また、Aβ-40に比べてAβ-42の両端の違いは2倍と小さいことから、今後の時分割AFM実験でこのモデル予測を検証することができる。

先に述べたように、最近報告されたAβ-42のフィブリル構造におけるLys28のアミノ側鎖とAla42のC末端との間の塩橋は、S字型のフィブリルフォールドを安定化させる役割を果たしている(45)。 本研究で用いたLS型フォールドを持つAβ-42のネイティブ構造では、Lys28-Ala42の塩橋は完全には存在しない。 Aβ-40ではなく、Aβ-42の「フィブリル状」12量体におけるAla42に特異的な相互作用を同定するために、鎖内および鎖間の残基の接触を計算した(セクションS6および図S10参照)。 図S10Aは、A~Lと記されたAβ-42の典型的なLS型ドデカマーの鎖構成を示している。0.5 nm以内の距離にある残基の鎖単位の重原子接触頻度を見ると、Ala42はLys28(マップの右半分に黒丸で示されている)と頻繁に(>50%)鎖内接触をしており、Aβ-42のドデカマーにおいてAla42がする唯一のモノマー内接触であることがわかる。 また、Ala42は、フィブリル軸に沿ってLys28と鎖間接触をする(赤丸で示す)。 これらの鎖内・鎖間接触は、Aβ-40には存在しないAla42が関与するAβ-42の安定化に一役買っている可能性がある。 図S10Cは、Lys28の側鎖NH3+とAla42の末端COO-が近接している12量体の代表的な構造を示している。 Lys28とAla42の接触がLSフォールドにとって物理的に重要であるかどうかは、12量体の各鎖について、Lys28の側鎖アミノNとAla42の骨格カルボキシレートCの間の距離の分布を計算することでさらに評価した(図S10D)。 これは、Aβ-40にはないLys28とAla42の強い接触が、Aβ-42の安定性を高めていることを示しており、AFM像で観察されたように、Aβ-42フィブリルの強固な配列を確保するための付加的な役割を果たしている可能性がある。 最後に、シミュレーションで得られたグラフェン上でのドデカマーの最大高さの分布を見ると、Aβ-42では7~11 nmの範囲にあり(図6E、赤線)、非球形で層状のドデカマー集合体のモデルでは8 nmにピークがあった。 シミュレーションで得られたAβ-42の全体的な高さの値は、実験で測定された平均粒子高さ(5.8 ± 1.0)nmと同程度であり(図S3B、一番上の緑色の統計プロットを参照)、これは分子量が~55kDaに相当するものである。

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